公開:2022.03.02

サテライトオフィスと支社・支店の違いは?両方を活用した事例も紹介

サテライトオフィスを設置する企業が増加しています。通勤負担の軽減や感染症対策として、効率良くテレワークできる環境を整備するためです。会社側の営業効率を高めるため設置される支社・支店と違い、サテライトオフィスは社員の生活改善を目的に設けられます。

サテライトオフィスには、設置される場所や利用できる社員ごとに違いがあり、一括りにはできません。サテライトオフィスは支社・支店と機能が違いますが、専用端末やインターネット回線で連携すれば、同様の環境で業務を行えます。

1.サテライトオフィスって何?

1.サテライトオフィスって何?

サテライトオフィスとは、企業の本支店とは別の場所に、衛星(サテライト)のように設けられるオフィスを意味します。サテライトオフィスは支店と違い独自の営業拠点ではなく、社員が集まってテレワークや会議を行えるスペースです。

サテライトオフィスで行える業務は、パソコンなどを使った在宅勤務やモバイルワークと大きくは違いません。しかし、サテライトオフィスにはプリンターなどの業務用機器があり、家庭と違い業務に集中できることがメリットです。

支店とは役割に違いがあるものの、多くの企業がサテライトオフィスにメリットを見出して設置を推進しています。

2.設置場所によるサテライトオフィスの種類

2.設置場所によるサテライトオフィスの種類

サテライトオフィスはテレワークを行う拠点で、単独で営業を行わない点が支店と違います。それでも企業がサテライトオフィスを導入するのは、社員のワークライフバランスを改善し、生産性の向上につなげるためです。

たとえば、地方にサテライトオフィスを設置すれば、出身地での勤務を望む優秀な人材を雇用できます。郊外のサテライトオフィスはベッドタウンに住む社員の通勤負担を減らせますし、都市部のサテライトオフィスは営業中に立ち寄って簡単な業務を行える場所です。

都市型・郊外型・地方型のサテライトオフィスにはどのような違いがあるか解説します。

2-1.都市型サテライトオフィス

都市型サテライトオフィスが担うのは、出張中の社員が所属する支店に連絡する、営業中の社員が本社に戻らず業務するといった役割です。グループ企業の社員向けに、本社内にサテライトオフィスが設置されるケースもあります。

地方に本社がある企業が設置する場合もありますが、都市部に本社があるけれど導入する事例もあります。遠隔地で勤務できるサテライトオフィスとは違い、簡単な業務や人材交流を目的とするためです。

2-2.郊外型サテライトオフィス

職住近接が郊外型サテライトオフィスの主な目的です。ベッドタウンに住む社員は都心への通勤で時間をロスし、介護や子育てに時間を割くのが難しくなります。郊外型サテライトオフィスへの通勤で時間を有効利用できますし、家庭と環境が違い、集中して作業を行えます。

郊外型サテライトオフィスは都心に本社がある企業が分散通勤の一環として導入するケースが多いといえます。都心から電車で1時間程度の場所に設置されるため、対面で業務する必要がある際に、本支店に出勤しやすいのもメリットです。

2-3.地方型サテライトオフィス

地方型サテライトオフィスは、主にテレワークで業務を完結させられるIT企業が、地方で暮らす人材の獲得を目的に設置します。古民家を活用した個性的なサテライトオフィスもありますし、豊かな自然環境の中で子育てやレジャーを楽しめるのも特徴です。

地方型サテライトオフィスは常駐する人材が多く、テレワークに加えて地域での営業活動を担うこともあります。地域コミュニティの形成や人脈作りにも寄与しますが、そのため支店との違いが曖昧になりやすいのも事実です。

3.契約形態によるサテライトオフィスの種類

3.契約形態によるサテライトオフィスの種類

ここまで設置場所別にサテライトオフィスを分類しましたが、次に契約形態の違いによる種類を確認しましょう。サテライトオフィスの契約形態には専用型と共用型という違いがあり、文字通り企業が自社専用として使うか、他社と共有するかが主な違いです。

注意が必要なのは、所有形態が自社か、それともレンタルかの違いが契約形態と一致するとは限らないことです。レンタルしたサテライトオフィスを自社専用に使うこともありますし、自社所有のサテライトオフィスを他社と共用する場合もあります。

3-1.専用型サテライトオフィス

専用型サテライトオフィスは、自社とグループ企業の社員のみ利用可能です。セキュリティが高いVPN回線で本支店とサテライトオフィスを結べるため、機密情報を扱う場合にも適します。共用型サテライトオフィスと違い、支社・支店により近い環境で働けるといえるでしょう。

また、外回りの社員が本支店とデータ共有する際に、自席まで戻らずサテライトオフィスで業務できるのもメリットです。そのため、設置される場所は郊外や地方とは限らず、本支店の社屋内に専用型サテライトオフィスが設置されるケースもあります。

3-2.共用型サテライトオフィス

専用型と違い、共用型サテライトオフィスは自社以外の社員でも利用できます。一時的に出先でテレワークを行う社員のほか、フリーランスが利用することもあるのが特徴です。女性専用スペースやキッズスペースが設けられた共用型サテライトオフィスも存在します。

専用型サテライトオフィス同様に、インターネット環境やオフィス用品が整備され効率良く業務が行えますが、顧客のプライバシーなどを扱う業務は行えない点に注意が必要です。自社専用サテライトオフィスと違い、外部との人材交流が活性化される一方で、混雑の可能性もあります。

4.サテライトオフィスと支社・支店との違い

4.サテライトオフィスと支社・支店との違い

サテライトオフィスとは、社員がテレワークを効率良く行える場所です。一方、支店は本店に準じる営業拠点で、テレワーク以外の業務も行える違いがあります。また、社員が所属する本支店とは違いサテライトオフィス自体に社員は所属せず、一時的に利用する形態がほとんどです。

支店と支社に大きな違いはありません。会社法など法律上の正式名称が支店であり、支社は通称であることがほとんどです。また、支店を設置する際は法務局で商業登記を行う必要がありますが、サテライトオフィスはテレワークを行う場所で支店とは違うため、登記は行われません。

シェアオフィスやコワーキングスペースは主にフリーランスが利用しますが、企業が契約しサテライトオフィスとして社員に使わせる場合もあり、最大の違いは利用者の属性にあります。

5.サテライトオフィスと支社・支店を活用してテレワークを推進した事例

5.サテライトオフィスと支社・支店を活用してテレワークを推進した事例

大手生命保険会社・大同生命では、在宅勤務制度導入にあたり2か月間・68人のトライアルを実施し、生産性向上とワークライフバランス改善を確認しました。テレワークを円滑に行うべく作成されたのが、サテライトオフィス勤務を含む在宅勤務制度利用マニュアルです。

神戸のサテライトオフィスでは、専用端末の導入により支社・支店と違いがない環境で保険契約業務を行えます。セキュリティ対策を施したタブレット端末で顧客との契約を行い、帰社せず業務を完結させられる、モバイルワークも導入済みです。

サテライトオフィスや在宅勤務に個人情報保護機能を施した端末が導入され、支社・支店と同様に働けるため、社員に「満員電車から解放され、快適な環境で働ける」と評価されています。

出典:導入事例 大同生命保険株式会社|テレワーク総合ポータルサイト(厚生労働省)

その他のサテライトオフィス活用事例はこちらの記事でも紹介しています

サテライトオフィスを導入するには?導入企業6社の事例を紹介

まとめ

サテライトオフィスは社員の待遇改善を目的に導入される施設であり、生産性向上によって企業にもメリットをもたらします。都市か地方かという設置場所の違いはあれ、支社・支店に近い環境で働けることは間違いありません。

サテライトオフィス導入には、まず共用型スペースで簡単な業務を行えることを確認し、より高度な作業のために専用型サテライトオフィスを契約する手順が適切です。企業の先行事例も多く存在するため、参考にしながら自社への導入を目指しましょう。

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