公開:2020.08.20

コワーキングスペースとは?メリットやシェアオフィスとの違いを簡単に

コワーキングスペースとは?メリットやシェアオフィスとの違いを簡単に

世界的に広がっている働き方改革に応じて、オフィスの在り方もだんだんと変化を迎えている中、”コワーキングスペース”という新しいオフィスの形が日本でも浸透しつつあります。

この記事ではコワーキングスペースとは何か、シェアオフィスとの違いや、コワーキングスペースを使うメリットや利用例についてご紹介します。

1.コワーキングスペースとは?

コワーキングスペースとは?

コワーキングスペース(Coworking Space)とは、異なる目的を持った人々が作業スペースを共有できる空間のこと。簡単にいえば、コワーキングスペースとは誰でも利用できるオフィスのようなものです。

そんなコワーキングの語源は、「CO(共同)」+「Working(働く)」。コワーキングスペースの意味を直訳すると「共同で働く空間」となるため、通常のオフィスとの違いが分からないという人もいるでしょう。

コワーキングスペースでは、まったく面識のない人々が同じ空間を共有して仕事や作業、打ち合わせなどを行っています。通常のオフィスに比べると、コワーキングスペースは同じ企業に雇われていない、グループに属していない人々が多く利用しているといった点がポイントです。

1-1.コワーキングスペースはコミュニケーションの場

コワーキングスペースはさまざまな人が利用できます。その性質からフリーアドレス(自由席)を採用しているところがほとんどで、カフェや図書館のように好きな場所を利用することが可能です。

利用者にはライターやエディター、WebデザイナーやITエンジニア、会社の経営者から学生まで幅広く存在するため、コワーキングスペースであれば本来なら交流することのない人々ともコミュニケーションを図ることができます。

ほとんどの仕事を1人でこなすフリーランスやノマドワーカーの中には、「仕事に関する話題を誰かと共有したい」という人もいます。そのため、人付き合いを増やす方法として、コワーキングスペースをコミュニケーションの場として活用するフリーランスも増えつつあるようです。

もちろんご本人のコミュニケーション能力は必要となるものの、普段は関わりを持たない職種の方々とも交流できるチャンスは見逃せません。

1-2.コワーキングスペースには定額制と従量制の2つがある

コワーキングスペースの利用は主に使いたいときだけ使用料を支払う従量制と、毎月の使用料を予め支払うサブスク定額制の2つの手段があります。

使いたいときだけ支払う方法は「ドロップイン」とも呼ばれ、好きな時間に好きなタイミングでコワーキングスペースを利用する方に人気の手段です。

一方で、毎月使用料を支払うサブスク定額制のコワーキングスペースでは、ドリンクサービスやカフェの無料利用券などちょっとしたオマケがついていることもあります。

どのような頻度でコワーキングスペースを利用するのか、事前に利用頻度をイメージしておくことで支払いをスマートに済ませることが可能です。

2.コワーキングスペースで提供されているサービス

コワーキングスペースで提供されているサービス

コワーキングスペースは働く場所として、さまざまなワークスタイルをサポートできるサービスが提供されています。

  • Wi-Fiや電話のインフラ提供
  • 電話や郵便物の転送
  • 住所を利用した法人登記
  • ドリンクサービス
  • キッチン
  • 個室や会議スペース

事業所によってサービスの有無は異なるものの、コワーキングスペースで提供されるサービスの傾向について見ていきましょう。

2-1.Wi-Fiや電話のインフラ提供

コワーキングスペースではWi-Fi環境や電話、細かな文具といった作業に必要な基本インフラが提供されているところがほとんどです。インターネット環境が整備されているため、ノートパソコンを1台持ち込むだけで仕事場として活用することができます。

ただし、インターネットの速度など十分な環境整備がされているかはコワーキングスペースにより異なるため、事前にチェックすることをおすすめします。

2-2.電話や郵便物の転送

コワーキングスペースでは固定電話や住所番号が利用者に提供されているケースがあります。郵送物の転送サービスを利用すれば、個人宛と事業主宛の郵便物を分けて管理がしやすくなります。

また、オフィス代わりとして事業用の固定電話を利用することが可能です。一部のコワーキングスペースでは、バーチャルオフィスとして秘書サービスも別途提供されています。

電話代行の秘書を依頼できるコンシェルジュサービスもあるため、個人事業主として活動をはじめたばかりのユーザーにもおすすめのサービスだと言えるでしょう。

2-3.住所を利用した法人登記

コワーキングスペースでは、法人登記に向けて住所利用を許諾しているところがあります。法人登記をすると登録した住所や氏名が誰でも閲覧できる状態になるため、「営業の電話やチラシといったさまざまな勧誘が来て困る」と頭を悩ませてしまう個人事業主の方も。

住所をコワーキングスペースで登録し、各転送サービスを利用することで、自宅とオフィスを分けつつ落ち着いた生活を送ることが可能です。

賃貸式のレンタルオフィスに比べるとコストも抑えられる傾向にあるため、出費を抑えるためにコワーキングスペースを利用するのも1つの手段だと言えます。

2-4.ドリンクサービス

シェアオフィスに比べるとゆったりとした雰囲気を持つコワーキングスペースでは、ドリンクサービスがついていることも多くなっています。冷蔵庫内の飲み物が無料で利用できたり、場所によってはバーが併設されていたりと、ちょっとしたカフェのような雰囲気で作業することが可能です。

ドリンクサービスの有無はコワーキングスペースによって異なるため事前にチェックしておきましょう。

2-5.キッチン

誰でも利用できる大型キッチンが完備されているコワーキングスペースもあります。料理教室やちょっとしたパーティー会場としても利用でき、”交流の場”としてコミュニケーションを図ることもできます。

ただし、キッチンがメインのコワーキングキッチンでは、菓子製造の禁止や一部の有資格者のみ利用できるなど、制限が設けられている場合があるため注意が必要です。

2-6.個室や会議スペース

コワーキングスペースではビジネスのために会議室が別途設けられていることがほとんとです。また、「周囲の人の話し声が気になってしまう」といった方へ向けて、個室スペースが提供されていることもあります。

大人数で利用できる会議スペースが用意されているのはもちろんのこと、中には勉強会向けにセミナールームが用意されていることもあります。

ビジネス向けサービスの内容はコワーキングスペースの提供元によって異なります。複数人での利用や静かな環境を求めている場合は、事前に専用室の有無や収容人数などをチェックしておきましょう。

3.コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは?

コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは?

「コワーキングスペースとシェアオフィスの違いが分からない」という意見はよく見かけられます。実態は提供元により多少異なるものの、コワーキングスペースとシェアオフィスはほとんど似通った特徴を持ちます。

しかし、一言でコワーキングスペースとはいってもその実態はさまざまです。しっかりしたオフィスのような様相から小さなカフェテリアのような見た目まで、コワーキングスペースという枠組みの中でも店舗によって雰囲気は大きく変わります。

3-1.コワーキングとはワークスタイルの1つ

コワーキングスペースには何か特定の条件があるわけではなく、「複数人が共同で働く空間」として、居心地の良い空間に仕事向けの付加価値がプラスされているに過ぎません。

アメリカ企業のSpacious社(現WeWork社)が提供するサービスでは、コワーキングスペースとして営業時間外のカフェやレストランを利用するといったユニークな方法も取られています。

どちらかと言えば「シェアオフィスはすでにある仕事をメンバーと共有して進める場」、「コワーキングスペースは新しいビジネスを生み出す場」というイメージが近いでしょう。ある意味でコワーキングスペースはコミュニティを形成する場とも言えます。

とはいえ、「コワーキングスペースとシェアオフィスには違いが無い」という認識でも特に問題はありません。明確な線引きは設けられていないのが現状です。

4.コワーキングスペースのメリットとは?

コワーキングスペースのメリットとは?

さまざまなサービスを利用できるコワーキングスペースにはメリットも多く存在します。

  • 作業のしやすい環境が整っている
  • 総合的なコストを抑えられる
  • 手軽に打ち合わせスペースを活用できる
  • ビジネスチャンスを拾える可能性も

コワーキングスペースを利用するメリットについて見ていきましょう。

4-1.作業のしやすい環境が整っている

ノマドワーカーやフリーランスの中には、カフェやレストランを使って仕事をしている方もいます。程よい雑音と雑多な環境だからこそ作業に集中できるという人もいますが、場合によっては作業がしにくいと感じるシーンもあるでしょう。

「テーブルが小さくて作業がしづらい」
「席の間隔が狭く落ち着かない」
「Wi-Fi環境が充実していない」
「最寄りの店は作業が禁止されている」
「空席がなくなると周囲の目線が気になる」

一方で、コワーキングスペースなら作業のしやすい環境が整っています。必要なときに必要なときだけ作業に集中できる環境を求めている場合は、コワーキングスペースがピッタリな環境だと言えるでしょう。

4-2.総合的なコストを抑えられる

コワーキングスペースの利用料にはさまざまな付加価値がついています。賃貸物件を借りて自身のオフィスを作る場合、通信設備の購入費や光熱費、賃料といったランニングコストが掛かってしまいます。

一方で、コワーキングスペースを利用すれば遥かに低コストに抑えることが可能です。

また、常に清掃の行き届いたオフィスが利用できるのも1つのポイント。新型コロナに対する衛生面の対策に加え、管理の行き届いたスペースを利用できるため、常にリフレッシュした環境で作業することができます。

その都度コワーキングスペースの利用料を支払うドロップインを活用すれば、総合的なコストを大きく下げることができるでしょう。

4-3.手軽に打ち合わせスペースを活用できる

コワーキングスペースでは専用の打ち合わせスペースや、会議用の個室を利用することができます。ドロップインでコワーキングスペースを活用すれば、必要な時間だけ落ち着いた雰囲気で打ち合わせを進めることが可能です。

ちょっとした打ち合わせでカフェやレストランを利用する方もいますが、席の確保や配列が難しかったり、周りの騒音が不確定要素だったりと、落ち着いた打ち合わせに活用することが難しいケースがあるでしょう。

「インタビュー音声を録音して、あとで文字起こしをしようとしたら周囲のノイズが……」という具合に、場合によっては後々頭を抱えてしまうような問題も発生します。

コワーキングスペースであれば、いつでも手軽に会議や打ち合わせを進めることが可能です。

4-4.ビジネスチャンスを拾える可能性も

コワーキングスペースはさまざまな業種や立場の人々が利用しています。まったく違った目線を持つ人と交流できたり、新しい仕事のチャンスをもらえたり、情報交換をする中で自身のスキルアップに繋がるチャンスが転がっているかもしれません。

あるいは、全く新しいビジネスを生み出す機会に巡り会える可能性も。起業家も活用しているコワーキングスペースではどのようなビジネスチャンスが転がっているか誰にもわからないのです。

また、コワーキングスペースを活用したインフルエンサーなどによるセミナーも行われています。全く知らない人と触れ合うチャンスを活かすことで、新たな人脈やビジネスチャンスを作り出せるのは間違いないでしょう。

まとめ

コワーキングスペースとは、誰でも利用できるシェアオフィスのようなものです。ビジネス向けのインフラ環境が提供されている他、ドリンクサービスやキッチンなどちょっとした休憩場所としても活用することができます。

また、個人事業主向けのサービスも提供されているため、オフィスを構えていないフリーランスの方にはまさにうってつけだと言えるでしょう。

落ち着いて作業のできる環境を求めていたり、他人とのちょっとした交流を求めていたりする場合は、この機会にコワーキングスペースを利用してみてはいかがでしょうか?

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