オフィスチェアのキャスター種類は何が違う?特徴・メリット・注意点を解説

オフィスチェアを選ぶ際は、つい座面や背もたれの素材・機能に目がいきがちです。しかし、「キャスターの種類」も快適な使い心地や床への影響を大きく左右するのをご存知ですか?
実はキャスターには、「ウレタン・ナイロン・ゴム」といった素材ごとの違いに加え、静音性やサイズ、ストッパーの有無など、さまざまなタイプがあります。用途や床材に合ったキャスターを選ばないと、場合によっては床を傷つけてしまうリスクも。
この記事では、オフィスチェアに使われるキャスターの種類や特徴、交換方法や床を保護する工夫まで、わかりやすく紹介します。キャスター選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
- 目次
- 1.オフィスチェアキャスターに使われる主な材質の種類
- 2.オフィスチェアキャスターの種類
- 3.オフィスチェアのキャスターは交換できる?手順を解説
- 4.床を傷つけたくないなら「チェアマット」もおすすめ
- まとめ
1.オフィスチェアキャスターに使われる主な材質の種類

オフィスチェアのキャスターに使われる素材には、大きく分けて「ウレタン・ナイロン・ゴム」の3種類があり、それぞれに適した床材や使用環境が異なります。間違った組み合わせで使用すると、椅子の滑りが悪くなったり、床を傷めるリスクがあるのも事実です。
主なキャスター材質の種類と特徴は以下のとおりです。
材質 | 特徴 | 向いている床材 | 注意点 |
---|---|---|---|
ウレタンキャスター |
|
|
|
ナイロンキャスター(ポリアミド) |
|
|
|
ゴムキャスター |
|
|
|
1-1.ウレタンキャスター

ウレタンキャスターとは、フローリングやタイルなど、硬くて傷つきやすい床材に合うキャスター素材です。やや柔らかい樹脂でできており、床を傷つけにくいのが最大の特長です。一般家庭や会議室など、床の保護を重視したい環境でよく選ばれています。
また、走行時の音も比較的静かで、滑りすぎない適度なグリップ力があるのも魅力のひとつ。操作性と静音性を両立したバランスの取れたキャスターで、デザイン性にも優れており、さまざまなチェアに違和感なくマッチします。
一方で、素材の性質上、高温や湿気にはあまり強くありません。長期間使用すると表面が摩耗し、硬化してくることもあるため、定期的な状態確認・交換が必要です。
ウレタンキャスターのオフィスチェアを探す
1-2.ナイロンキャスター

ナイロンキャスターとは、非常に硬く、耐摩耗性や強度に優れたキャスター素材です。滑りが良く、軽い力でもスムーズに移動できるため、事務作業で椅子を移動させるオフィス環境に適しています。
多くのオフィスチェアに標準装備されている、もっとも一般的なキャスター素材でもあります。特に、カーペットやタイルカーペットなどの柔らかい床材と相性が良く、移動時のひっかかりが少ないのも魅力です。
ただし、硬さゆえにフローリングやビニール床などでは床に傷をつける可能性があるため、設置環境によっては注意が必要です。また、弾性がないため、動くときの振動音がやや大きめになってしまう問題があります。
ナイロンキャスターのオフィスチェアを探す
1-3.ゴムキャスター

ゴムキャスターとは、ゴム特有の弾力によって、衝撃吸収性と静音性に優れたキャスター素材です。床とのグリップ力が高く、滑りにくいため、安全性を重視する現場や医療・福祉施設などでも使われています。
特に重量物を載せるワゴンや医療機器などで使用されることが多く、オフィスチェアでも安定性や静音性を重視するシーンにおすすめです。床を傷つけにくく、安心して使用できる魅力もあります。
ただし、ゴムは摩耗しやすく、長時間の荷重で変形が残るケースも。また、ゴミやほこりが付着しやすいため、定期的なお手入れが必要です。
ゴムキャスターのオフィスチェアを探す
2.オフィスチェアキャスターの種類
オフィスチェアのキャスターには、材質だけでなく「機能」や「形状」の違いもあります。ここでは、使用シーンや目的に応じて選べるキャスターの種類を解説します。
2-1.静音仕様キャスター
静音仕様キャスターとは、走行時のガラガラ音やコトコト音を抑える設計がなされたタイプです。樹脂の構造や軸受け部分に工夫を施して動作音を軽減しています。オフィスや図書館、クリニックなど静けさが求められる空間には特にフィットします。
また、滑らかな動作で、夜間作業や集合住宅でも安心できるのが魅力です。素材としてはウレタンキャスターがベースになることが多く、テレワークなど自宅オフィスにも選ばれる人気キャスターです。
一方で、通常のキャスターよりは若干価格設定が高めになります。また、耐久性や静音性は製品ごとに差があるため、「思ったよりもうるさい」とならないよう、事前にキャスターの静音性について確認するのをおすすめします。
2-2.ストッパー付きキャスター
ストッパー付きキャスターとは、座っていないときにキャスターが固定されるタイプや、手動でロックをかけられるタイプなどがあります。動いてほしくないシーンで重宝される機能です。勉強机・作業台など、安定性を重視する場所にもおすすめです。
立ち座りの多い作業環境でも人気なほか、ミーティング向けの折りたたみチェアなどで一部採用されているケースがあります。しかし、「オフィスチェア」としてはストッパー付きキャスターは一般的ではなく、対応モデルが限定的です。
2-3.小型キャスター
小型キャスターとは、通常よりも直径が小さいサイズのキャスターで、軽量な椅子や省スペース環境に多く使われます。低床設計のため、座面高を低めに保ちたい場合にも有効です。
デザイン性に優れたオフィスチェアや、コンパクトなワークスペースに適しています。一方で、段差や凸凹に弱くなりやすいほか、大型のキャスターに比べると、耐荷重が劣ってしまう面も。
移動時の安定感を損なうため、「キャスターとしての機能は最小限あればいい」「普段はあまり動かない」「コンパクト感を重視したい」といったニーズにおすすめです。
2-4.大型キャスター
大型キャスターとは、一般的なキャスターよりも直径が大きいキャスターで、椅子の座面高を高めたいシーンにも役立ちます。また、小型とは違って直径が大きいため、段差やカーペットなどの凹凸のある床面でもスムーズに移動しやすいのがメリットです。
耐荷重も大きく、ヘッドレストを搭載した大型オフィスチェアや、重厚感のある椅子で採用されるケースが多くなっています。キャスターのサイズ変更によって座面高が大きく変わるため、デスクや体格に合うか事前に確認するのをおすすめします。
2-5.キャスターなしタイプ(固定脚)
キャスターの代わりに、固定脚を採用したオフィスチェアもあります。主に会議室や受付カウンターなど、安定性を求めるシーンで活用されています。移動しないため安定感が高く、集中しやすいのがメリットです。
また、デザイン性が高く、シンプルでスタイリッシュな見た目に仕上がっているモデルが多くなっています。
さらに、キャスターなしの固定脚モデルのなかには、座面が回転しつつも常に一定方向を向くよう設計されたモデルもあります。そのため、会議終わりに椅子を整えずとも、キレイに向きが揃うといった魅力も。
一方で、デスクワーク向けの機能が抑えられている製品も多く、シンプルな設計のため、リクライニングや高さ調節などの機能が少ない傾向にあります。
3.オフィスチェアのキャスターは交換できる?手順を解説
オフィスチェアのキャスターは、ほとんどの製品で交換が可能です。使用環境に合わないキャスターや経年劣化したパーツを取り替えれば、床へのダメージを防ぎつつ、スムーズな動作を取り戻せます。
ただし、交換作業にはいくつかの注意点があります。特に、椅子をひっくり返す際に床や壁を傷つけないよう、作業場所にはマットや布などを敷いておくのが理想的です。
また、安全性の観点からも、キャスターの耐荷重を必ず確認する必要があります。以下の計算式を目安に、使用予定のキャスターが十分な耐荷重を備えているかチェックしましょう。
- キャスター1個あたりの耐荷重 × 使用個数 × 0.75(安全率)= 総荷重の上限
例えば1個あたり40kgの耐荷重があるキャスターを5個使う場合は「40kg × 5個 × 0.75 = 150kg」となり、体重+椅子の重量を合わせて150kg以内の耐荷重を確保できる計算です。
キャスターの交換はサイズと規格さえ合えば誰でも行えますが、耐荷重の確認を怠ると、後々大きなトラブルを招くためご注意ください。
ここでは、オフィスチェアのキャスター交換手順について解説します。
3-1.キャスターの取付方式をチェック

オフィスチェアのキャスターにはいくつかの取り付け方式があります。交換前に、現在取り付けられている方式を確認しましょう。
差し込み式 | 一般的なオフィスチェアに多く使われる形式です。軸の太さ(通常10〜11mm)や長さの確認が求められます。 |
---|---|
ねじ込み式 | ネジ山付きの軸を回して取り付けるタイプです。差し込み式とは互換性がないため注意が必要です。 |
プレート式 | 四角い金属板をボルトで固定する方式。業務用機器や一部家具などに見られ、オフィスチェアではほとんど見られません。 |
確認のため、既存のキャスターを一つ外して軸の形状を見ておくと失敗を避けられます。
3-2.交換する予定のキャスターを引き抜く

交換作業の前に、椅子の周囲を柔らかいもので養生するのをおすすめします。オフィスチェアをひっくり返す工程では、うっかり床や壁を傷つけてしまう恐れがあるため、作業場所にはあらかじめ毛布や厚手のマット、段ボールなどを敷いておくと安心です。
また、無理に持ち上げるのではなく、座面を支点にしてゆっくり傾けましょう。安定した状態で倒したら、交換したいキャスターの根元部分をしっかり持ち、まっすぐ上方向に引き抜きます。
差し込み式のキャスターは基本的に工具なしで取り外せますが、経年劣化やゴミの詰まりによって抜けにくくなっているケースも。マイナスドライバーやラジオペンチなどを使って、少しずつこじ開けるように外す方法も有効です。
ただし、接続部が金属だと個人では交換が難しい場合もあるため、メーカーに相談するのも選択肢にあがります。金属部分に力を加えすぎるとフレームを傷つける可能性もあるため、慎重な作業を進めましょう。
3-3.新しいキャスターを差し込む
取り外しが終わったら、新しいキャスターを用意します。注意すべきポイントは、取り付け方式と軸のサイズが、既存のキャスターと一致しているかどうかです。
形状が異なると取り付けできないため、購入時には「差し込み式」「ねじ込み式」などのタイプと、「軸径」「軸の長さ」を必ず確認しておきましょう。
差し込みタイプのキャスターであれば、取り付け方はとても簡単で、軸を垂直に押し込むようにして根元までしっかり差し込むことで交換作業を行えます。手で押し込んで硬い場合は、上から体重をかけるようにして座面越しに圧をかけると、うまく装着できる場合も。
すべてのキャスターが正しく取り付けられたら、チェアを元の向きに戻して、転がりの滑らかさや安定感、ガタつきがないかをチェックします。ぐらつきや装着ミスがあると、使用中に脱落や破損のリスクもあるため、最後にしっかりと確認することが大切です。
4.床を傷つけたくないなら「チェアマット」もおすすめ

オフィスチェアのキャスターは便利な反面、床材によっては長期間の使用で傷やへこみ、摩耗などのトラブルを引き起こす可能性があります。特に、フローリングやクッションフロアなどのやわらかい床材はダメージを受けやすい点に注意が必要です。
オフィスチェアとセットで「チェアマット」を併用すれば、床材に傷がつくのを防ぐ効果が期待できます。摩耗による小さなキズやへこみを防げるだけでなく、キャスターの転がり音をある程度軽減できるのもポイントです。
マンションや集合住宅など、自宅オフィスで静音性を求めたいシーンにも活躍します。チェアマットに使われる素材はポリカーボネートや塩化ビニルなどが一般的で、透明タイプであれば床の意匠を損なわずに使えます。
また、カーペット用・フローリング用など用途に合わせた滑り止め仕様もあるため、オフィスチェアの移動が多い方や床へのダメージが気になる方には、チェアマットの導入がおすすめです。
まとめ
オフィスチェアのキャスターは、材質や構造によって使い心地や床への影響が大きく変わります。静音性や動きやすさだけでなく、設置環境に合ったキャスターを選ぶことが、長く快適に使うためのポイントです。
フローリングやクッションフロアの上で使う場合は、チェアマットを併用することで床の保護にもつながります。キャスターの交換は意外と簡単に行えるため、今お使いのオフィスチェアに違和感を感じるときは、キャスターを見直してみるのもおすすめです。
どのキャスターが自分の使い方に合っているか迷ったときは、オフィスコムのショールームでぜひオフィスチェアの試し座りもご検討ください。実際の製品を体験することで、最適なオフィスチェア選びにお役立ていただけます。
お近くのショールーム
オフィスチェアの人気ランキングを見る
オフィスコム公式TOP:https://www.office-com.jp/