公開:2022.06.09

テレワークでの社内コミュニケーションの工夫とは?メリットや不足により起こりうるリスクも紹介

オフィスならサクッと伝えられる連絡事項でも、テレワークだと一手間かかったり、時間がかかったりした経験はないでしょうか。また、テレワークを始めてから、普段オフィスで何気なく行われていた「雑談」が意外と仕事の潤滑油になっていたことに気付いた方もいるでしょう。

まずは社内のコミュニケーションがより重視されるようになった背景から、社内コミュニケーションがスムーズに取れることのメリットについて解説します。加えてコミュニケーション不足からくるリスクとその対処法も紹介しますので、ぜひ今後の仕事へのヒントにしてください。

1.テレワークで社内コミュニケーションが重要視される背景

1.テレワークで社内コミュニケーションが重要視される背景

近年の通信技術の発展によりテレワークの普及が進む中、コロナ禍のリスク対策としてより多くの企業がテレワークを採用しています。今は会社に勤める半数以上の人がフルテレワークまたはテレワークと出勤のミックス型勤務をしていると言っても過言ではない時代になりました。

その中で新たな課題として浮かび上がってきたのが「社内のコミュニケーション問題」です。まずここではテレワークによってどのようなコミュニケーション問題が浮上してきたのか、またその背景について説明します。

1-1.テレワークによる会話減少が企業の課題に

テレワークの普及とともにコロナ感染リスクの軽減や通勤・設備管理のコスト削減などのメリットが強調されてきましたが、その裏ではコミュニケーションの減少問題も指摘されてきました。

国土交通省が2020年9月に発表した企業へのヒアリング調査結果によると、テレワークを利用している4割近くの企業が「テレワークで社内コミュニケーションがしやすくなるとは思わない」と答えています。また、サイボウズ社が2020年に実施したテレワークのコミュニケーション調査結果でも、業務関連コミュニケーション・業務外コミュニケーションの両方とも半数以上の人が「コミュニケーションをしにくい」と答えました。

国土交通省が2020年9月に発表した企業へのヒアリング調査結果によると、テレワークを利用している4割近くの企業が「テレワークで社内コミュニケーションがしやすくなるとは思わない」と答えています。また、サイボウズ社が2020年に実施したテレワークのコミュニケーション調査結果でも、業務関連コミュニケーション・業務外コミュニケーションの両方とも半数以上の人が「コミュニケーションをしにくい」と答えました。

1-2.若い年代ほどコミュニケーションが難しい

サイボウズ社の調査結果を見ると、年代が下がるほどテレワークで社内コミュニケーションが取りにくいと答える傾向があります。60代では5割程度が「コミュニケーションを取りにくい」と答えたことに比べ、20代ではその割合が約6割になります。

若い年代がコミュニケーション問題を多く感じている理由として、テレワークによって「他の人の動きが見えにくい」ことが挙げられます。オフィスだと相手の動きや表情が見えるので、相談や質問が比較的しやすいです。しかしテレワークだと相手の状況が把握できないので、1人で解決できない問題があっても上司や先輩への連絡を躊躇してしまうのです。

また、コミュニケーションを取るときも相手を邪魔しないように、業務に関する最小限のことだけを伝えるようになります。今までのオフィス環境では業務に関係ない雑談などを通じてお互いの特徴を把握し、よりスムーズに業務を進められましたが、テレワーク環境ではそれが難しくなっています。

2.社内コミュニケーションの工夫で得られるメリット

2.社内コミュニケーションの工夫で得られるメリット

社内コミュニケーションが低減すると、意思決定の遅れや業務効率の低下が生じる可能性があります。では、社内コミュニケーションが活発になるとどのようなメリットが得られるでしょうか。ここでは代表的な3つのメリットを紹介します。

2-1.生産性の向上

社内のコミュニケーションが活発になると、同僚や上司、さらには部署間でも協力し合える体制が作られます。個人の課題がチームの課題として認識されやすいので、その分意思決定のプロセスが短縮され、速度も速くなります。

このようなサイクルがチームを超えて部署間、全社に共有されると、全社の生産性の向上にもつながるでしょう。

2-2.従業員の心理的安全性の確保

社内コミュニケーションが不足しているとき、各従業員は業務のトラブルを1人で抱え込むようになります。またトラブルが生じていなくても、業務の方向性が正しいか迷い、相談できないケースもあり得ます。

コミュニケーションが活発になり、従業員の不安が晴れると、従業員は会社から尊重されている、守られていると感じます。それによってより自由なアイデア、多くの発言が生まれるのです。

2-3.顧客満足度の向上

社内コミュニケーションの活発化により全社のパフォーマンスが向上すると、顧客サービスへの満足度も自然と上がるでしょう。もしトラブルが発生しても、関連部署が連携し迅速にトラブルを解消できるはずです。

このような顧客満足度の向上は結果的に会社の認知度向上・高評価にもつながるので、会社の利益向上も期待できます。

3.コミュニケーション不足により起こりうるリスク

3.コミュニケーション不足により起こりうるリスク

上記でも少し述べましたが、社内のコミュニケーションが低減すると、企業の生産性にも影響を及ぼします。ここでは上司と部下、部署間など4つのシーンに分けて、コミュニケーション不足によって起こりうるリスクについて解説します。

3-1.上司と部下のコミュニケーション

上司の役割で最も重要なことは部下やチームに対し、業務で最大のパフォーマンスを発揮させることです。そのためには両方の細やかなコミュニケーションが大事です。

上司と部下間のコミュニケーションが少ないと、部下は相談相手がいなく、業務上のミスや滞りがあってもそれがチーム全体に共有されるまで時間がかかります。また、不満を持った部下が離職したり、心身の健康問題を訴えたりなど、上司のマネジメント問題にまで発展する可能性もあります。このような問題は会社側からしても大きな損害です。

3-2.部署・事業所間のコミュニケーション

テレワークが進む以前にも、部署や事業所間のコミュニケーションは長い間企業の課題として認識されてきました。HR総研が2016年に実施した社内コミュニケーション調査によると、約7割の企業が「部門間・事業所間のコミュニケーションに課題がある」と答えています。

同じフロアで勤務する同部署のメンバーとは違い、他部署・事業所のメンバーは物理的な距離が遠いことがコミュニケーション不足の一因として挙げられます。複数の部署が協力して行うべきプロジェクトでも、自分の部署の利益や他部署の責任ばかりを問う「セクショナリズム」に陥ることがあり、企業全体の生産性を低下させる原因になっています。

3-3.部署内・メンバー同士のコミュニケーション

同僚間のコミュニケーション不足も大きなリスクです。普段からコミュニケーションを取っていると、メンバー個人が持っている知識やノウハウを他のメンバーに伝えたり、お互いが気軽に業務上の相談をしたりなど、いいサイクルが生まれます。

しかし、同僚間でコミュニケーションがあまり行われないと、業務上の相談が上司に集中して進みが遅くなったり、同じような業務を複数のメンバーが同時進行で行っていても気付きが遅くなったりなど、業務効率も低下する恐れがあります。

3-4.経営層と従業員のコミュニケーション

経営層と従業員のコミュニケーションにも常に力を入れるべきです。経営層がどれだけ立派な経営方針を作成しても、それが従業員の声から作られた物でなければ、それに従う従業員は少ないはずです。従業員と経営層の方向性が一致してからこそ、経営方針が実現され、会社としての最大のパフォーマンスを発揮できるでしょう。

4.社内コミュニケーションを向上させる工夫

4.社内コミュニケーションを向上させる工夫

実際社内コミュニケーションを向上させるための方法にはどのようなことがあるでしょうか。会社全体やチーム単位などで実践できる3つの工夫について紹介します。

4-1.オフィスレイアウトの工夫

テレワークと出勤のミックス型勤務を実施している会社なら、オフィスのレイアウトをコミュニケーションを取りやすい形に変更することをおすすめします。

従来の区切られた会議室の代わりにオープンスペースの会議エリアを設置したり、自席を持たないフリーアドレスオフィスに変更したりすることもいいでしょう。また、オフィスの一角に休憩スペースを設けることで、従業員の業務効率も向上できます。

4-2.上司と部下間での面談制度の導入

今までの人事評価のための面談だけでなく、上司と部下間の定期的な面談を実施することも効果的です。

10~30分程度の短い時間でもいいので、部下と上司の1対1面談の機会を設け、業務進捗だけでなく、プライベートの話を共有します。そうすることにより、上司は部下への理解が深まり、効果的な指示の出し方ができたり、部下の変化に早めに気付いたりできます。

10~30分程度の短い時間でもいいので、部下と上司の1対1面談の機会を設け、業務進捗だけでなく、プライベートの話を共有します。そうすることにより、上司は部下への理解が深まり、効果的な指示の出し方ができたり、部下の変化に早めに気付いたりできます。

4-3.コミュニケーションツールの導入

個人の業務の間に手軽にコミュニケーションが取れるツールを導入することもコミュニケーションの活発化につながります。

メールより気軽にコミュニケーションが取れるビジネスチャットや社内専用のSNS、お互いのスケジュールや動きを見えやすくするグループウェアなどが効果的です。また、テレワーク環境でも顔を見て会議できるWeb会議システムを導入すると、さらに効果的でしょう。

まとめ

社内コミュニケーションの低減は従業員個人のパフォーマンスを低下させるだけではなく、結果的に会社全体のパフォーマンスまで低下させてしまう大きな課題です。

自社のコミュニケーション課題に悩んでいる方がいましたら、ぜひ今回紹介した「社内コミュニケーションを向上させる工夫」を参考にしてみてください。

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